コラム
太陽光発電の発電効率を上げる方法とは?導入前後に分けて解説
再生可能エネルギーの1つとして脚光を浴びる太陽光発電を有効的に活用するためには、発電効率を高めることが大切です。
- 効率的に発電できる方法はあるのか
- どういった場合に発電効率が落ちるのか
上記のようにどうすれば効率的に発電することができるのか気になる企業ご担当者様も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では下記について解説します。
- 発電効率(変換効率)の指標
- 設置場所の選定時に注意すべき点
- 太陽光パネルの選び方や配置方法
- 発電効率が落ちる要因への対処方法
太陽光発電の設置をスムーズに進めていくためにも、これらの点をぜひ理解しておきましょう。
発電効率(変換効率)の指標
発電効率(変換効率)の指標について下記より解説します。
発電効率(変換効率)の指標
発電効率(変換効率)は、太陽光パネルが受け取った太陽光エネルギーのうち、何%を電力に変換することができるかを表します。
この数値が高いほど、多くの電力を生み出していることを表しています。
また、太陽光発電には光が当たると電力を発生させる太陽電池が使われていますが、その種類によって効率が異なります。
発電効率(変換効率)には限界がある?
最も普及している結晶シリコン型太陽電池はp型半導体とn型半導体とを組み合わせたものですが、これらpn接合が1つだけの単接合太陽電池の変換効率は、理論的には約30%程度が限界と考えられています。
平均的な発電効率(変換効率)について
シリコン系や化合物系など使用する太陽光パネルによっても発電効率は変わってきます。
例えばシリコン系の中でも単結晶のものは最も変換効率が高い(15〜20%強程度)と言われています。
なお、発電効率は水力発電の約80%や原子力発電の約33%と比べると小さいですが、これを改善すべく、研究や改良が重ねられています。
発電効率(変換効率)の計算方法
発電効率は次の計算式で表すことができます。
セル実効変換効率(%) | [モジュール公称最大出力(W)×100]÷[1セルの全面積(m2)×1モジュールのセル数(個)×放射照度(W/m2)](放射照度=1,000W/m2) |
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モジュール変換効率(%) | [モジュール公称最大出力(W)×100]÷[モジュール面積(m2)×放射照度(W/m2)](放射照度=1,000W/m2) |
【設置場所の選定】まずはどれくらいの面積に何kW設置できるか検討する
発電効率を上げる前に、まずは自社内に太陽光発電システムを設置した場合の大まかな発電量を知る必要があります。
ポイントは、以下の3点です。
設置可能な場所の面積を算出する
まずは、屋根、空き地、ソーラーカーポートなど社内でパネルを設置できる場所を検討します。
その上で設置できそうな場所や設置方法を検討し、それぞれのおおよその面積を算出します。
その際には、屋根の構造や建物の形状、土地の形状などによって100%使用できないケースや、太陽光パネルの間隔をあける必要があることに注意をしましょう。
設置場所として使用できるのはどれくらいの割合なのか推定する必要があります。(例:80%など)
算出した面積をもとに何kW設置できるか概算する
算出した面積から実際に太陽光発電システムを設置した際に何kW設置できるかの試算を行います。
太陽光パネルの面積から、設置候補となる場所にパネルを何枚くらい置けるかを試算し、太陽光パネル1枚当たりの出力をかけることで算出できますので下記をご参照ください。
例:6,000m2の屋根に2.25m2で475Wの太陽光パネルを置く場合
6,000m2×使用可能率80%÷2.25m2×0.475kW≒1MW |
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自社で見積が難しい場合は専門家に協力を依頼する
自身では面積や何kW設置できるかの算出が難しい場合や、さらに詳しく調べたい場合は、太陽光発電システムを取り扱う専門家に頼る方法もあります。
見積や具体的な検討の前にどれくらい設置できそうか相談してみると良いかもしれません。
【設置場所の確定後】発電効率やサイズ、設置場所を考慮し設置効率の良い太陽光パネルと配置を検討する
太陽光パネルの設置場所が決まった後にすることとして、2つご紹介します。
太陽光パネルを選ぶ
まずは、太陽光パネルを選定します。
太陽光パネルによって発電効率は変わるため、発電効率や設置場所の条件に合わせて採用する製品を慎重に選ぶ必要があります。
そのためにも、下記2点に注意すると良いと考えられます。
◯ 発電効率を比較する
太陽光パネルメーカー各社のホームページなどで発電効率を比較しましょう。
また、劣化保証にも留意する必要があります。
パネルは劣化しますが、劣化度合いの保証があり、破損などがなければ20〜30年使えることが多い傾向にあります。
◯ 専門家に相談する
太陽光パネルの選び方に迷う場合は、インターネットなどを活用し自身で調べるだけでなく、専門家に相談をしてみると良いかもしれません。
専門家に相談することで、専門的な知識を補ってもらうだけでなく、どういった太陽光パネルが最適か提案してもらうことも可能です。
配置を検討する
次に、太陽光発電パネルの配置する方位を検討します。
下表の通り、日射量が多い水平面や南向きの方位に設置することで発電できる電力量が大きくなるため、配置する方位に注意すると良いと考えられます。
下記の方位ごとに年間で発電できる電力量の統計資料をご参照ください。
方位 | 水平面 | 南 | 東 | 西 | 北 |
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単位面積当たり年間発電電力量(kWh/m2・年) | 61.58 | 67.22 | 57.33 | 57.33 | 44.80 |
なお、積雪地域ではパネルの傾斜を大きくするなど地域によってはその地域の特徴に合わせて工夫をする必要があるため注意しましょう。
また、建物や土地の形状など設置場所の条件によって方位や角度が決まってしまうこともあります。
【設置後】発電効率が落ちる要因をなくす
発電効率を上げるためには、発電効率が落ちる要因をなくすことも重要です。
下記にて、発電効率が落ちないようにできる工夫を3つご紹介します。
太陽光発電設備の発電効率低下をケアする
発電効率の低下を抑えるために注意すべき点について、太陽光モジュールとパワーコンディショナに分けて解説します。
◯ 太陽光モジュール
各メーカーの出力保証範囲からは一般に毎年0.5〜1%程度の劣化率が見込まれているものの、製品としては約25〜30年程度使用することが多いです。
劣化は避けられないのですが、一定の範囲でメーカーが保証しており、ユーザー側として劣化対策は特にありません。
太陽光モジュールのガラス面に付着した汚れは出力低下につながるので、雨が降った際に汚れが流れやすいよう傾斜をつけるといった工夫や、ガラス面の定期的な清掃を心がけましょう。
◯ パワーコンディショナ
パワーコンディショナは発電を開始してから10年ほどで性能が大幅に落ちるため、交換など定期的な補修・改善を行い、性能を維持すると良いと考えられます。
メーカー・機種によっては、保証期間を最大20年まで延長できるものもあります。
定期的に保守・点検を行う
発電効率や設置場所を慎重に検討するだけでなく、太陽光パネルやその部材、その他電気設備を定期的に保守・点検する必要があります。
定期的な保守・点検を行うことで機器の破損など故障の原因を早期発見することができ、稼働停止などを避けられると考えられます。
丸紅が太陽光発電システムの設置をサポートします
ここまで、太陽光発電導入に当たって知っておくべき発電効率や、設置場所の選定や発電効率を下げないためのメンテナンスについて説明しました。
丸紅には、原材料を含めた太陽電池関連部材取り扱いの25年以上に渡る実績やノウハウがあり、これらを生かして最適な機種をご提案いたします。
また、約2ギガワットに及ぶ太陽光パネルの累積販売数量の実績や施工業者とのネットワークを生かして最適な太陽光発電導入プランをご提案することも可能です。
太陽光発電の導入をお考えの際は、ぜひ一度当社までご相談ください。