コラム
【法人向け】自家消費型の太陽光発電が注目される理由について解説
2022年現在、世界中で脱炭素社会を目指す取り組みが行われている中、日本の経済産業省も「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」の中で再生可能エネルギーの比率を大幅に増やすことを目標として掲げており、日本企業もその実現に向けて対応を迫られています。
そこで、再エネ導入に際して企業として考えられる方策の一つとして、自家消費型の太陽光発電設置が注目されています。
この記事では太陽光発電に長年携わる専門家の観点から
- 自家消費型の太陽光発電とは何か
- 注目される背景
- 導入するメリットと注意点
について解説します。
自家消費型の太陽光発電システムの導入を検討している方に、役立つ記事となれば幸いです。
自家消費型の太陽光発電とは?
自家消費型の太陽光発電とは?
自家消費型の太陽光発電とは、太陽光発電設備を自社の屋根や遊休地に設置し、発電した電気を自社で消費することです。
自家消費型の太陽光発電が注目される背景
2022年現在、世界中で脱炭素に向けた取り組みが進められています。
日本においても2021年10月、政府より2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指すことを宣言されました。
これを踏まえ、経済産業省が中心となり、関係省庁と連携して「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」が策定され、各企業の取組も急がねばなりません。
経済産業省では、再生可能エネルギーの比率を2020年度の20%から2030年度には36〜38%(太陽光は15%程度)へ増やすことを目標として掲げています。
また、2020年度末の累計導入量は約61GWであるのに対し、2030年までに2020年実績の2倍程度に増やす見通しを立てています。
こうした背景から、太陽光発電システムの導入は、再生可能エネルギー導入において重要な施策の1つと言えるでしょう。
自家消費型の太陽光発電のメリット
自家消費型の太陽光発電のメリットには、大きく以下の3つが挙げられます。
- 電気料金の削減が期待できる
- 使用していない資源を有効活用することができる
- 再エネ導入による企業価値の向上や再エネ価値化
- 災害時に向けて一定量の蓄電をすることができる
- 国や自治体からの補助金により初期費用を抑えることができる
電気料金の削減が期待できる
電気料金の値上がりが続いている現代においては、電気料金の削減は企業の重要な課題の1つとも言えるでしょう。
設置可能面積や電力使用用途などを分析する必要はありますが、2つの側面から自家消費型太陽光発電設置では電気代の削減が期待できます。
①自社で使用する電気の全量または一部を自社設備で発電した分の電気で賄うことができること。
自社で太陽光発電システムを保有する場合、天候が良い日中は発電ができるため電気代を抑えることができます。
夜間や悪天候の場合には電力会社から電気を購入する必要があり、電力使用量に応じて電気料金がかかりますが、蓄電池を併設しておけば事前に蓄電しておくことでカバーする事も可能です。
②通常の電力料金に加算されて支払っている「再エネ賦課金(=固定価格買取制度(FIT)電力会社の再生可能エネルギー購入にかかる費用を国民が負担する費用)」が免除されること。
自家消費 | 通常の電気料金 | |
---|---|---|
基本料金 |
全量自家消費の場合は自社で発電するため不要※ただし夜間は蓄電池を使用することが必要 |
各電気事業者にて設定された料金 |
電力量料金 |
・全量自家消費の場合は自社で発電するため不要 ※ただし夜間は蓄電池を使用することが必要 ・自社発電で賄いきれない場合も、 電気購入量が減り、電気代が削減できる |
各電気事業者にて設定された料金 |
再エネ賦課金 | 不要 | 上記で使用した電気量に応じた価格 |
使用していない資源を有効活用することができる
自家消費型の太陽光発電のメリットとして、使用していない資源を有効活用できることが挙げられます。
たとえば、施設の屋根や遊休地など普段は使用しないスペースを、太陽光パネルの設置で有効活用することができます。
ただし、屋根や遊休地の特性によって設置可否や設置方法の確認が必要なため、重量に耐えうるかを知るためにも事前に築年数や耐荷重を確認することが必要です。
また、屋根の形状によっても設置方法が異なるため、専門業者に相談する前に確認しておきましょう。
再エネ導入による企業価値の向上
自家消費型太陽光発電により再エネ由来の電力を使用することで、企業の価値の向上も期待できます。
とくに電気使用量が多い企業においては大幅なCO2削減が期待でき、社会全体として再エネ導入が求められている中、企業の価値を高めることができる一つの方策となります。
災害時に向け一定量の蓄電をすることができる
自家消費型の太陽光発電システムを導入することで、一定量の蓄電をすることができます。
そのためには蓄電池を活用し、事前に準備する必要があります。
停電時にも一定量の電力供給が可能なため、防災という側面でも太陽光発電及び蓄電池の導入は有効と言えるでしょう。
国や自治体からの補助金により初期費用を抑えることができる
自家消費型の太陽光発電システムを導入するに際し、補助金の活用も可能です。
国や自治体から、自家消費型太陽光発電設置や蓄電池の導入に対しての補助金の公募が行われており、条件を満たせばこうした補助金を受けられるため、太陽光発電システムはコスト面において導入のハードルが低い点が1つのメリットと言えます。
自家消費型の太陽光発電の注意点
自家消費型の太陽光発電システムの導入には、コストがかかります。
そのため、どの部分にコストがかかるのか事前に確認しておきましょう。
- 初期費用にコストがかかる
- メンテナンスにコストがかかる
- 固定資産税がかかる場合がある
詳しく解説していきます。
初期費用にコストがかかる
自家消費型太陽光発電を設置するには、太陽光パネル等の設備の導入のため初期費用が必要となります。
メーカーや設置環境の条件によって、かかる費用には大きく幅があるため、初期費用がどのくらいかかるのかは施工業者にあらかじめ確認したうえで予算を算出しましょう。
似たような性能や保証であった場合にも、施工業者によってコストは変動します。
複数の施工業者を比較する場合には、初期費用を1つの判断材料としてみるのも良いでしょう。
メンテナンスにコストがかかる
自家消費型の太陽光発電を設置したあとは、メンテナンスにも費用がかかります。
メンテナンス費用も業者によって幅がありますが、1年毎の定期清掃、数年に一度の定期点検などが行われるケースがあり、都度費用がかさむでしょう。
こうしたランニングコストがかかることを把握したうえで予算を組む必要があります。
そのため、メンテナンス費用も、複数の業者を比較して検討してみましょう。
固定資産税がかかる場合がある
自家消費型の太陽光発電システムには、固定資産税がかかる場合があることに注意が必要です。
ただし、「再生可能エネルギー発電設備を取得した事業者」を対象に、「再生可能エネルギー発電設備に係る課税標準の特例措置」が適用されることで負担額を減らすことができます。
新たに固定資産税が課せられる年度から3年度分の固定資産税に限り、課税標準を軽減する特例措置です。
たとえば産業用太陽光発電においては、発電出力1,000kW以上では3/4に、1,000kW未満の場合には2/3に軽減されます。
太陽光を導入する
太陽光発電システムを検討する際には、以下2つからどちらを導入するか吟味しましょう。
- 自己投資型
- 第三者保有型
自己投資型
自己投資型の太陽光発電とは、この記事でご紹介している自家消費型太陽光発電と同義で、自社の資産として太陽光パネルを自社の屋根や遊休地に設置し、発電した電気を自社で消費することです。
初期費用が高額なこと、メンテナンスにも費用がかかる点に注意する必要がある一方、長期視点で見ると高いコスト削減効果が期待できるというのも大きな特徴と言えます。
第三者保有型 (CPPA=コーポレートPPA)
第三者保有型では、電気使用者が所有する施設の屋根や土地に、PPA事業者が太陽光発電設備を設置・所有・管理し、電気使用者がPPA事業者に対して発電した電気使用料を支払う仕組みのことを言います。
第三者保有型は、太陽光発電システムの初期費用やメンテナンス費用を省けるのが大きなメリットです。
また、通常は電力会社から電気を購入するよりも、発電事業者から電気を購入するほうが単価を抑えられる場合が多いのも特徴の1つです。
年間で計算すると電気料金の節約になりますが、自己投資型と比較するとコスト削減効果は低い場合がほとんどです。
また、PPA事業者の倒産のリスクが全くないとは言い切れないため、業者の選定が重要な点には注意が必要です。
太陽光発電なら丸紅へ
自家消費型の太陽光発電は、初期・維持コストはかかるもののメリットが多く見受けられるシステムです。
ただし取り入れるには、導入実績の多い専門業者のサポートが欠かせません。
丸紅では、導入からのトータルサポートが充実しているため、自家消費の太陽光発電にはじめて取り組まれる企業様でも安心しておまかせいただけます。
また、初期費用が0円の第三者保有型 (CPPA=コーポレートPPA)による太陽光発電システムの設置も含めて、貴社のお困りごとに最適なソリューションをご提案させていただきます。
太陽光発電システムの導入を検討中の企業様は、ぜひ丸紅までご相談ください。